子と育つ 読んでみた

家族はあなたと私ではなく、私たちでできている

これは自戒である。

この記事は子育てエンジニアAdvent Calendar 25日目の記事です。今年も子育てエンジニアAdvent Calendarにたくさんの方が参加してくれました。ステキな記事が集まっているのでぜひご一読ください。参加してくださった皆さん、ありがとうございました。

子育てエンジニア Advent Calendar 2019 - Adventar
子育てエンジニア Advent Calendar 2019 - Adventar

adventar.org

2018年の子育てエンジニアAdvent Calendarではこんな記事を書いた。

この記事のあと育児休暇を終えて職場に復帰し、妻は現時点では引き続き育児休暇中である。子供が生まれると生活が変わると聞いていたが、まさしくその通りだなと実感している。

子供が生まれる前

これは子供が生まれる前の頭の中のイメージ図だ。

私たちは共働き夫婦なので、

  • それぞれの円:それぞれの生活(仕事や人間関係)
  • 重なる部分:2人で共有する時間や価値

のように考えていた。もちろんそれぞれに家族や友人などのステークホルダーは存在するものの、基本的には「あなたと私」という構図である。いろいろな夫婦の形があると思うが、共有する部分の違いがあるだけで大枠は変わらない。

例えば、仕事の急用が入ってきたとしてもパートナーとコミュニケーションをして折り合いがつけばそれでよかった。

子供が生まれた後

子供が生まれると、もう1つの円があらわれる。

先程の「あなたと私」という構図に子供が加わる。子供は生まれたばかりの人間なので、優先的にサポートする必要があるし、喜んでそれをしたい。「あなたと私」だけでなく、子供も含めた関係性の中でものごとを考える必要が出てくる。簡単な話、優先順位のつけ方が変わるのである。

例えば、先ほどと同じく仕事の急用が入ってきた場合でも、パートナーと折り合いをつけるだけでなく、子供のことを考えて判断しなくてはならない。

プロダクトチーム

ここでプロダクトチームの話に逸れてみる。

チームというのは1人が増減しただけで、以前とは全く違うチームになる。なぜならば、それまでと大半のメンバーが同じだとしても1人が増減するだけでコミュニケーションのとり方や関係性が変わってしまうからだ。

そんなナマモノであるチームづくりについて、自分の理想とするチームやそのために取り組んできたことについていろんな場で話してきた。

心理的安全性について本気出して考えてみたら普段やってるチーミングの話だった より
心理的安全性について本気出して考えてみたら普段やってるチーミングの話だった より
アジャイルで目指した坂の上の雲 より

これらをチームを家族に置き換えて考えてみると、家族は1人増えると関係性が変わるし、

  • 家族 vs 問題の構図
  • 心理的に安全な家族
  • 個を成長させる家族、家族を成長させる家族

こんな家族を目指したいなって思う。

理想とするチーム

少し前に野中先生と平鍋さんの記事を読んだ。

スクラムは知識創造プロセスそのもの、すべては“エンパシー(共感)”から始まる - DIGITAL X(デジタルクロス)
スクラムは知識創造プロセスそのもの、すべては“エンパシー(共感)”から始まる - DIGITAL X(デジタルクロス)

平鍋 健児(以下、平鍋)  Scrum Inc. Japan取締役の平鍋 健児です。野中先生が1986年に竹内 弘高先生 ...

dcross.impress.co.jp

この中で触れられている「共感」の話がとてもおもしろかった。

そこで重要になるのが「エンパシー(共感)」であり、それを共有する場としてのチームです。エンパシーとは、ストレートな感情移入のことですが、その基本単位は“ペア”、すなわち、「私とあなた」の2人です。異なる存在であり、それぞれの主観をもつ「私とあなた」が真摯に向き合って妥協なき対話をして「われわれの主観」をつくりあげる2人称の関係なしに、新たな知識は生まれてきません。

スクラムは知識創造プロセスそのもの、すべては“エンパシー(共感)”から始まる より

これを読んだときに、自分は「生物的組織」のことを思い浮かべた。

自分は理想のチームについて聞かれたときに、「生物的組織」という言葉を使う。これは元サッカー日本代表監督の岡田武史さんの言葉だ。

人間の細胞は、古い細胞が死に、新しい細胞が生まれ、日々入れ替わっている。にもかかわらず、「その人」は「その人」としての形を保っている。そのときに脳みそはいちいちすべての細胞に細かく命令を出しているわけではなく、自然と近くの細胞と折り合いをなして形をつくっている。

これをチームとして見るとものすごく自己組織的なチームだと思うし、自分のチームもそういうチームでありたいと思い、この言葉を使わせていただいている。

ちなみに、とある友人は理想のチームを語るときに「超個体」という言葉を使っているが考えていることはだいたい同じだと思う。

すべてに共通しているのは、「あなたと私」から「私たち」を目指しているという点だ。もちろんこれは没個性という意味ではなく、チームとしてのあり方の話である。

家族はあなたと私ではなく、私たちでできている

再び家族の話に戻る。

育児休暇から明けて、妻と子供と3人で家族の暮らしを楽しんでいる。自分の中では2人はペアであり3人がチームの最小構成なので、家族というチームができて1年半が経過した。

しかし、時に妻と「あなたと私」になってぶつかってしまう時がある。ペアのときはそれでよかったのかもしれないが、これからは「私たち」を目指して家族ビルディングをしていきたい。まずは「あなた」「私」ではなく、「私たち」という言葉を意図的に使うことからはじめようと思う。

家族というチームは「あなたと私」ではなく、「私たち」でできているのだ。

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