インセプションデッキを現場でどう活用しているか

チーム

この記事は、インセプションデッキAdvent Calendar 9日目の記事です。

インセプションデッキ Advent Calendar 2019 - Adventar
アジャイル開発のプラクティスの1つである「インセプションデッキ」をテーマにしたAdvent Calendarです。 「インセプションデッキ」はいろんな現場で使われていますが、実際にどう使われているのかの情報が意外と出回っていません。教科書のままやるにはちょっとあれなインセプションデッキをどうやって活用しているのかぜひ...

XP祭り2019 に参加した際に、角谷さんとこんなやりとりをしました(遅くなってすみません)

体感としてインセプションデッキをやっている現場はそこそこ多いにも関わらず、検索結果にはあまり事例が出てきません。いろんな人のインセプションデッキに対する考え方や、各現場での使い方やコツが集まったら面白いなーという動機からAdvent Calendarを立ててみました。

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インセプションデッキとは

インセプションデッキを説明するのに良い資料があったので貼っておきます。ご自由にお使いください。

インセプションデッキの好きなところ

インセプションデッキをつくることで「チームの共通の言葉」ができるところが好きです。むしろ自分はそのためだけにやっているようなものです。

チームにはエンジニアだけではなく、デザインやテストやビジネスなど様々なバックグラウンドを持った人がいます。インセプションデッキをつくるという共通体験を通して、バラバラだった人たちに共通の言葉ができます。

これまでいろんな現場でインセプションデッキをつくってきましたが、そのあと仕事を進めているとこんな言葉が飛び交うようになりました。

  • 「これってインセプションデッキで話してたあれだよね?」
  • 「あれ?いまの状況って夜も眠れない問題に出てなかった?」
  • 「これはやらないことリストにあったやつだから今は考えないようにしましょう」
  • 「スコープよりもスケジュールの方が優先順位が高いのでこれは削っていいです」

バラバラな人たちに共通の言葉ができることで、チームに一体感が生まれ、コミュニケーションが円滑になります。最高のチームビルディングです。

インセプションデッキをつくる際に気をつけているポイント

成果物よりもつくる過程を

禅問答みたいになってしまいますが、インセプションデッキをつくるとどうしてもデッキを作り上げることを目指してしまいがちです。もちろん成果物であるデッキも大切ですが、それ以上にチームに共通の言葉ができることに価値があると思っています。

だから、

  • 「全員」集まる時間につくる
    • 一部のメンバーだけでつくって全員に共有するとかはしない
    • ※先に埋めておいてもよさそうなスライドはあるので時間短縮でやることはある
  • 無理に全部つくろうとしない
    • 議論の時間を大切にする
    • 時間の中で優先順位をつけてスコープを調整する

ということを意識して場を設計しています。インセプションデッキづくり自体のトレードオフスライダーを書いてみるとよさそうです。

言える化

インセプションデッキづくりをファシリテートする際は、

  1. 個人ワーク(まず自分で書いてみる)
  2. 共有(お互いに書いたものを見せ合う)
  3. 議論しながらチームで合意形成する(チームのデッキにする)

という流れを意識して進めていきます。特に 1 と 2 をさぼらないことが大切で、自分の頭で考えて自分の言葉で話す、という機会を強制的につくることで全員に発言する機会をつくります。全員が自分ごととして考えて発言できるチームをつくることを自分は「言える化」と呼んでいるのですが、これはその第一歩です。

ズレを見つける

プロダクトオーナーだからといってよいエレベーターピッチを書けるわけではありません。仮に書けたとしても、同じようなピッチをチームメンバー全員が書けないのであれば、チームの共通認識にできていないのであまり意味がありません。

いままでいろんなチームでインセプションデッキづくりの場を経験してきましたが、全員一致したエレベーターピッチを書けるチームは1つもありませんでした。でも、それでいいのです。ズレていることがわかることが重要です。

だから、インセプションデッキづくりは「誰かが正解を知っている」「正解を見つける」という意識ではなく、「ズレている部分を見つける」「正解かどうかはわからないけれどいまの自分たちの言葉にまとめる」くらいの意識の方がよいです。

前述の必ず個人ワークを挟む進め方は、このズレを見つけるということも意識しています。ズレていることがわかれば、あとはそれをどうするか考えるだけになります。だからズレてることがわかることはよいことなので、チームで喜びましょう。

チームインセプションデッキの紹介

オリジナルのインセプションデッキは、「プロジェクト=ある一定期間の仕事」の初期につくられることを想定して構成されています。コンテキストが合っていればそれでいいですが、例えばプロダクトを長く面倒見ているチームなど「プロジェクト」という単位がマッチしないチームにとっては以下のスライドは必要ありません。

  • 初回のリリースに必要なもの
  • 期間を見極める

自分も1つのチーム・プロダクトを長く開発・運用していることが多いため、オリジナルのインセプションデッキをそのまま使うことはなくて、状況に合わせてカスタマイズしています。

とはいえ、どうカスタマイズすればよいのか困る場合もあると思うので、自分がよくつくる「チームインセプションデッキ」の構成例を公開します。

★がついているスライドは、全員がいる場で話し合って決めることに大切にしているスライドです。それ以外のスライドは必要に応じて、予め用意しておいて全員で合意するなど、効率よく時間を使えるようにしています。

チーム名・チームロゴ

名前大事!ロゴ大事!

我々はなぜここにいるのか ★

そのままやります。チームとしてのWHYを明確にします。

チームエレベーターピッチ ★

エレベーターピッチのチーム版です。エレベーターに乗っている間に投資家にチームを売り込むつもりでつくります。自分たちのチームがどういうチームなのか認識を合わせて明文化しておくことは大切です。特に「目標・ライバルとなるチーム」について議論するのは面白いです。

プロジェクトコミュニティ

そのままやります。

俺たちのAチーム

そのままやります。

技術的な解決策の概要

そのままやります。

やらないことリスト・あとで決めることリスト ★

そのままやります。

夜も眠れなくなるような問題 ★

そのままやります。

トレードオフスライダー ★

この前つくったときに、「上記以外で重要なこと」に

  • プロセス(HOW)
  • プロジェクト(WHY)
  • プロダクト(WHAT)

を並べたらとても深い議論になりました。ここでいう「プロジェクト(WHY)」は会社や組織として求められているWHYのことです。チームがいまどういう優先順位のもとで意思決定をしているのかすり合わせることが大切だと感じました。

OKR ★

インセプションデッキをつくる流れOKRを考えるのが自然な流れだと思って入れました。ここまで話し合ってきた内容をもとにOKRを設定します。

個人としての目標 ★

チームに属していても、いるからこそ個人としての目標を大切にしたいのでよく入れます。各自が目標を書いた付箋を、常に見えるところに貼っておいて、ことあるごとに進ちょくを確認します。

まとめ

繰り返しになりますが、インセプションデッキは成果物よりもつくる過程にこそ価値があります。ですので、同じインセプションデッキという言葉を使っていてもチームによって、進め方によって、得られるものが全く違うものになるでしょう。

タフクエスチョンとタフディスカッションを通して、チームの背骨をつくることができれば、チーミングの基礎になります。

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