意識低いエンジニアリングマネージャーを目指してやったこと

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このブログ記事は Engineering Manager vol.2 Advent Calendar 2018 3日目の記事です。

Engineering Manager Advent Calendar 2018 - Qiita
エンジニアリングマネージャのためのアドベントカレンダーです。 + チーム運営の方法 + プロジェクトマネジメント/プロダクトマネジメントのノウハウ + 心理的安全性のハック + エンジニアリング組織運営のプラクティス などなどいろいろなノウハウを公開して行きましょう。 埋まったので(
Engineering Manager vol.2 Advent Calendar 2018 - Qiita
エンジニアリングマネージャのためのアドベントカレンダーvol.2です。 - チーム運営の方法 - プロジェクトマネジメント/プロダクトマネジメントのノウハウ - 心理的安全性のハック - エンジニアリング組織運営のプラクティス などなどいろいろなノウハウを公開して行きましょう。 (

楽天株式会社で新規事業のエンジニアリングマネージャーをやっている @TAKAKING22 です。

最近「エンジニアリングマネージャー」が流行っていますね。弊社にはそんなかっこいい役職名はないんですが、いわゆる開発部のマネージャーをやっているのでエンジニアリングマネージャーがわかりやすいと思って最近使っています。

意識低いエンジニアリングマネージャーを目指して

意識低いエンジニアリングマネージャーを目指してやったことについて書いてみます。

なぜ「意識低い」なのかというと、そもそもマネージャーにはなりたくなかったのでできる限り要領よくマネジメント業務を効率化してその分プレイヤーとして仕事をしようと考えたからです。なんと意識が低いのでしょう。

でも「俺がマネージャーだ!(ドンッ)」みたいにマネージャーになっただけで偉そうに振る舞ううざいマネージャーになるよりは意識が低いマネージャーの方がマシだと思うのと、実際になってみてわかったことがたくさんあるので誰かの参考になればと思って書いてみます。

エンジニアリングマネージャーの方はもちろん、エンジニアリングマネージャーに興味が無い方も読んでいただければ。

エンジニアリングマネージャーになったきっかけ

コンテキストを少しだけ(興味ない方はこの章は読み飛ばしてください)。

私は2年くらい前にプレイングマネージャーになることを決めたんですが、正直なところできるならマネージャーにはなりたくなかったです。なぜかというと、

  • 現場もエンジニアリングも大好き
  • 現場にいる方が自分のパフォーマンスを発揮できる
  • マネジメントは自分よりも得意な人がいるハズなのでその人に任せたい
  • マネジメントなんてかったるい

という思いがあったからです。以前にも何度かマネージャーになるタイミングはあってもことごとく断ってきたんですが、

  • 最高のチームとその仕事を外部から壊されたくない
  • やったことがないのに文句を言うのはダサい
  • 「自分がマネージャーだったら…」が溜まっていたのでそれをやってみようと思った
  • まずはやってみてマネジメント業務を圧縮すればプレイヤーでいられるのでは?

という理由でやってみることに決めました。

意識低いエンジニアリングマネージャーが意識したこと

意識したことはたった1つだけ、「チームが仕事に集中できるようにする」ことです。

幸いなことに自分は「チームやメンバーは最高だ」と自信を持って言えるので、彼らが集中して仕事ができればよい結果が生まれるという確信しています。ど素人のエンジニアリングマネージャーにできることは限られているので、まずはそれだけをやろうと思って取り組みました。

意識低いエンジニアリングマネージャーになってやったこと

やるからには意識低いエンジニアリングマネージャーを全力でやろうと思ってやったことを少しだけ紹介します。

勉強する

エンジニアリングマネージャーだからといって、エンジニアの上位互換なわけではなく、まったく別の役割を担うことになるので勉強が必要です。ドラゴンクエストで例えると、戦士が僧侶に転職したようなものなのでLV1からのスタートです。効率よくレベルアップするには勉強するしかありません。具体的にやったことは以下です。

  • 「この人すごい!」って思う社内外のエンジニアリングマネージャーの話を聞きに行く
  • マネジメント系の勉強会に参加する
  • マネジメント、組織論、教育学、心理学などの本を読む

最近の本だと以下の2冊が面白かったです。

勉強会だと最近はEngineering Manager Meetupが定期開催されていてアツいです。Slackグループもあって、勉強会の告知やいろんな現場のマネージャーの話を聞けるので良いです。

Engineering Manager Meetup
## 概要 エンジニアリングマネージャと聞いたときにどういう役割を思い浮かべるでしょうか。 私が知る限りだと日本のソフトウェア業界で統一された定義・見解を見ることはほとんどありません。会社や人それぞれによって思い描く姿やその実態・運用が異なり、それ ぞれの創意工夫や悩みがあるのではないかと思います。 本イベントは...
Create Account | Slack

またそれだけでなく、エンジニアリングやビジネスに関する勉強もより積極的になりました。もともと勉強が好きなので、本を読んだり手を動かしたり勉強会に参加するのは趣味のようなものだったんですが、マネージャーになってからはより意識して取り組むようになりました。

プレイングマネージャーだからということもあるのですが、それ以上にマネージャーとして知らないことで自分がボトルネックになることを避けるためです。マネージャーの役割を担うことでプレイヤーとしての時間は減ってしまうので、ボトルネックにならないように必要になりそうな技術要素やドメイン知識に関してはインプットを怠らないように気をつけました。

意識低いエンジニアリングマネージャーは、効率的にレベルアップし、かつ現場のボトルネックにならないようにするためには勉強をするしかなかったのです。

情報を筒抜けにする

マネージャーに降りてきた情報はほとんどすべてメンバーに伝わるようにしました。

組織のマネージャーにいると、わざわざピラミッドの上から順々に情報を流していく大きな滝が存在します。そして大して理由もなく「いったんマネージャーまでで」と謎の制限がかかります。

ですがそんなことは関係なく、自分が得た情報は自己判断でリアルタイムにチームに共有するようにしました。「ほとんどすべて」と書いたように、さすがにまずいと思うものは止めておこうと考えていたのですが、役員レベルならいざ知れず自分のような末端のマネージャーに降りてくるものには機密性がある情報などありません。むしろ人の動きや社内のルールの変更などはやく知っておいて損はないことがほとんどなので、マネージャーでワンクッションおいてスピードを落とす必要はないです。

フィルターになる

やってみるまではマネージャーほど普段何をしているかわからない役職はありませんでした。評価面談などのタッチポイントやわかりやすいものは想像できるものの、正直なところそれ以外の日常の生態が不明でした。

なのでいったんすべて自分で受けるようにして、どのような仕事があるかを把握し、その上でムダだと思ったものは徹底的に排除するようにしました。

例えばレポーティングに関しては、チームの仕事を誰に対してもオープンにすることで、レポーティング自体を極力しなくてもよいようにしました。特に私達のチームではモブプログラミングをしていたので、自分の上司には「いつでも参加してください」と伝えていました。結局来てくれたことはないけど、うまくいっているのでよいということでしょう。幸いなことに自分の上司も協力をしてくれたので、極力めんどくさいことは自分でやったり、自分の上司におしつk・・・お任せをして、本当に必要なものだけ現場に協力してもらうように心がけしました。

モブプログラミング | TAKAKING22.com
「モブプログラミング」の記事一覧です。

マネージャーがフィルターになってムダを取り除くことで、現場のメンバーが全力で仕事に取り組めるならばそれが一番だな、と思います。

そして意識低いエンジニアリングマネージャーはムダなことをしたくないので、改善に必死でした。

意識低いエンジニアリングマネージャーとして今思うこと

最後に、実際にエンジニアリングマネージャーを経験してみて思ったことを共有します。

エンジニアリングマネージャーって面白い

やってみてエンジニアリングマネージャーって面白い仕事だな、と思いました。

何が一番面白いかというと、ムダがたくさんあるので改善しがいがあるところです。マネージャーは多くの人や組織と関わることになるので複雑になりやすい仕事なので、その分ムダが生まれやすい仕事です。そのムダのとり方のほとんどは、現場でやってきた改善活動とそれほど変わらないのでいくらでもやりようがあります。マネージャーになる前に感じていた「もやっとしたこと」はあながち間違いではなく、それをマネージャーとして主体性を持って一つずつ潰していけばいいだけでした。

最初に書いた通り、マネジメントなんてかったるいと思っていたのですが、自分が想像しているつまらないマネージャーがかったるいだけでした。組織・チーム・メンバー・プロダクトのためにやれることは無限にあるので、主体性を持って取り組めばやりがいがある仕事です。

Manage=うまくする

manageの意味・使い方 - 英和辞典 Weblio辞書
manageの意味や使い方 【動詞】 【他動詞】1a〔+to do〕どうにかして〈…〉する,うまく〈…〉する; 《反語》 愚かにも〈…〉する.用例I managed to get out... - 約1088万語ある英和辞典・和英辞典。発音・イディオムも分かる英語辞書。

動詞であるManageを日本語にすると「うまくする」「なんとかする」という訳があって、「管理する」よりもこっちの方が好きです。

どうしてもマネージャー=管理者というイメージが強く、意識しすぎるとメンバーを子供扱いしたり、不要な上下関係ができてしまいます。マネージャーはエンジニアやスクラムマスターやプロダクトオーナーと同じくロールの1つに過ぎません。マネージャーは親でも先生でもネ申でもなくただの人です。

「この組織・チーム・メンバー・プロダクトを、うまくいかせるためにはどうすればいいだろう?」

と考えて、メンバーを信頼して、メンバーに信頼してもらって、肩肘張らずに、意識だけ高くならずに、自分ができることをやっていけばそれでいいんじゃないかなーと思いました。

『なんでもはできない、できることだけ』ですね。

次は

今回はちょっとネタっぽく書きましたが、

  • 子供扱いをすると子供として振る舞う
  • 主語が僕らになるか彼らになるか
  • マネージャーは孤独だ

などなどネタはいろいろあるのでまたどこかで。

次は @nakahashi さんです。お楽しみに!